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連載コラム/ガンダーラ井上の「時計 なんて、時計だって」 #016 現代に蘇ったアナログデジタル FUTURE FUNK

#016 現代に蘇ったアナログデジタル FUTURE FUNK
このレトロなスタイルの腕時計は、数字で時刻を表示します。LEDや液晶などの電子デバイスを使わず、物理的に印刷された数字が回転して窓から顔を出すアナログデジタル方式。とはいえ1970年代のデッドストックではありません。FUTURE FUNKと名付けられた新製品なのです。
#016 現代に蘇ったアナログデジタル FUTURE FUNK
なんだか懐かしいなぁ。と過去の腕時計コレクションを探索してみると、メカデジと呼ばれるジャンルの腕時計がザクザク出てきました。こちらは不肖ガンダーラの私物です。1970年代のデジタルウォッチ黎明期に、電子化されたムーブメントを開発するリソースを持たないスイスの中小メーカーがこぞって製作したのが、機械式のムーブメントの針をディスクに変えてデジタルに擬態した腕時計でした。どれも中身は機械式だからリュウズが付いていますね。
#016 現代に蘇ったアナログデジタル FUTURE FUNK
そこでFUTURE FUNKの側面を見てみれば、リュウズではなくプッシュボタンが備わっています。そうなんです。この腕時計のムーブメントは電池で動くクォーツ方式。それにしてはケースの厚さが14ミリ以上もあってボリューム感が半端じゃないですね。わざと分厚くしているのかと思えばそうでもなく、ちゃんとした理由があるんです。
#016 現代に蘇ったアナログデジタル FUTURE FUNK
ヒントは、この2つのアイテム。左は数字を回転させてロックを解除する、おなじみの南京錠。右にあるのはイベント会場の運営をしている人とか、交通量調査をしている人なんかが使う“数取器”と呼ばれる道具。ツノみたいに生えた部分を押すと、中のローラーが縦に回転して数字がカウントアップされます。
#016 現代に蘇ったアナログデジタル FUTURE FUNK
FUTURE FUNKの時刻表示部を、思いっきりマクロで撮影してみました。縦方向に回転するローラーに数字が印刷してあって、それが数取器みたいな動きをして時刻を表示してくれるんですね。ディスクではなくローラーだから、その直径が収められるケースの厚みが必要だったのです。
#016 現代に蘇ったアナログデジタル FUTURE FUNK
ローラータイプのアナログデジタルのオリジンは1974年に登場したDerby Jaz Swissonicという電磁テンプ式の腕時計ですが、あのモデルも結構な厚みがありました。FUTURE FUNKのしっかりしたレザーベルトは24ミリの幅広タイプ。ローラー式というメカニズム的な必然に加え、21世紀に入り極大化した腕時計サイズのトレンドにも乗っている感じです。
#016 現代に蘇ったアナログデジタル FUTURE FUNK
同じムーブメントを搭載し、ラウンドケースに収めたモデルは現代的な印象ですね。ケースの直径は約43ミリとラージサイズですが、マニアでもなんでもない女性が腕にしていてもファッションアイテムとして様になると思います。
#016 現代に蘇ったアナログデジタル FUTURE FUNK
1分間に1回、チキチキチキッ!と小さな音を立ててローラーが動く瞬間はレトロフューチャーそのもの。しかもタイムピースはクォーツなので精度は月差±30秒。機械式と違って何日か放置していたら止まっていた。という面倒もなく、使い勝手と遊び心のバランスに優れたガジェットウォッチです。
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