Photo & Text:Gandhara Inoue
オトコに許される数少ない装身具であり自己表現のツールでもある腕時計。その選び方に、思わずチカラが入ってしまいがちなのは分かります。でも、すこし冷静になって、いっときの感情に踊らされず、極めて普通の腕時計ってどんなものだろうと思索を巡らせるとアタマの中にイメージとして浮かんでくるカタチがあるはずです。それこそがタイムレスな腕時計です。
たとえばタワーであれば、パリのエッフェル塔みたいなもの。自分的にはシアトルのスペースニードルが好きとか、いや旧東ベルリンのテレビ塔のほうがゾクゾクする!という意見があるのも理解できるのですけれど、エッフェル塔と比べたら共感してもらえる人数に限りがあります。
衰え果てることのない強靭なイメージ。だれもが共感できる普遍性という切り口から見れば、エッフェル塔は無敵です。性別も職業も年齢も問わず、あまねく知られ好感度もピカイチ。そういう人にはなれなくても、そういう腕時計なら身につけることができます。
タイムレスなスタイリングの腕時計は
「平凡」や「無難」といった消極的な動機による選択肢ではなく、決して虚勢をはることをせず普通であることの価値を知る人のもの。すなわち、普通に行きていくことの覚悟と誇りを示してくれる腕時計なのです。