第二次世界大戦が終わり、アメリカが自由を謳歌するようになった1950年代。時計の世界でも新しいプロダクトが求められるようになり、世界初のエレクトリックウオッチとして1957年に『ベンチュラ』が開発された。電池ひとつで1年以上も動き続ける画期的な機構は当時の人々を驚愕させたが、機構以上に彼らの心を刺激したのが、キャデラックのテールフィンを手掛けたプロダクトデザイナー、リチャード・アービブによる三角形のシェイプを採用した斬新なデザインだ。ベンチュラは当時のカルチャーアイコンであるエルヴィス・プレスリーも魅了し、彼が主演した映画「ブルー・ハワイ」で使われたほかプライベートでも愛用したことが知られている。この時計は、そんなプレスリーの生誕80周年に製作された特別な記念モデル。リューズサイドからケースを覆うようにデザインされたサファイアクリスタル風防が現代的なアレンジを加えつつ、オリジナルから継承された三角形のシェイプを際立たせている。