伝統的な様式美を重んじる一方で、カウンターアイコンを常に生み出してきたイギリス。相反する2つの側面を持つその文化的特徴を体現する一人が、ポール・スミスだ。自身のデザインスタイルを“ひねりの効いたクラシック”と評しているが、テイラードをベースにカラフルなストライプを取り入れた代名詞的デザインは、まさに伝統文化とカウンターカルチャーの融合といえるだろう。その特異なデザインは時計のコレクションでも効果を発揮している。クオリティーにこだわりスイスメイドで作られる「スイス・コレクション」の「N.39」は、イングランド中部・ノッティンガムにほど近い町、スミス氏の生家のある通り”アビーロード39番地”から名づけられた。生家の廊下にあった掛け時計をモチーフに、カラーリングしたブレゲ針、ビッグデイト、洋服の生地を思わせる文字盤の仕上げなどのひねりをプラス。クラシックの良さを残した絶妙なアレンジに、そのこだわりとセンスが見てとれる。