腕時計の中身には、大別して電力を用いて動かすクォーツ式と、電力を必要としない機械式があります。目に見えるメカニズムだけで構成された機械式腕時計の動力源は、ゼンマイです。うずまき状で弾力のある特殊な鋼材でできたゼンマイが機械式腕時計の中には収められていて、それを巻くことでテンションを上げ、ゼンマイがほどけようとするパワーを用いて時計の針を動かしています。
ゼンマイは、腕時計のりゅうずを12時方向に40-50回ほど巻き上げることでチャージされます。こうして満タンにしてやれば、だいたい36時間は動きます。だから、毎日ほぼ決まった時刻にネジを巻いてあげれば、ずっと動き続けてくれるのです。
現在のほとんどの機械式腕時計には、腕につけて振っているとゼンマイが勝手に巻き上がる『自動巻』という仕組みが搭載されていますが、STOWAのこのモデルのように、手巻き専用の腕時計も存在します。
自動ではなく手動。腕時計の持ち主が、主体的に毎日ネジを巻いてあげる必要のある腕時計を、あえて選ぶ。慣れるまでは、面倒くさいかもしれません。でも、毎朝ゼンマイをチャージすることで自分の気持ちにもスイッチが入るし、手をかけないと止まってしまう腕時計と付き合うのは、生き物と暮らすことにも似ています。そんな視点で腕時計を選んでみるのも楽しいことだと思います。